「…………え?」
『本当にごめん、だけど、』
「大丈夫。じゃあね、メリークリスマス」
電源ボタンを押せば、耳から聞こえるのはただ機械音だけ。
明かりもつけていない暗い自室で、私は蹲って泣きたいのを堪えた。
今日は12月24日。
世間ではクリスマスイブと呼ばれる、聖夜の前日だ。
「…………あーぁ」
思わず声にでた私のぼやきは、しんとした部屋に思いの外響いた。
恋人達の日、といっても過言ではないと思われるクリスマスイブ。
なのに私はついさっき、その恋人に振られた。
いや、振られたはいいすぎだけれど。つまり、なんだ。
「一人クリスマスじゃーん」
軽い調子が似合う言葉なのに、私の声は鼻声だった。