満月の夜



あの日は[夜の用事]があって、あたしはその準備をしている時だった。


いつも騒がしいといえば騒がしいあたしの家。

だけど、今日の騒がしさは限度を越えていて・・・。あたしは何事かと思いながらも、準備を進めていた。





コンコン

ふと扉をノックする音が聞こえてきて、あたしは手を止めた。


「はい。」

凛とした声でそう言うと、青ざめた使用人が入ってきた。その顔にあたしはただ事ではないと、唾を飲み込んだ。