私が帰ってから少し経った頃。
「ただいまー。」
蓮の声が1階から聞こえた。
ヤバい……ッ!
こんな顔見られたら……
私は布団を被って寝ているフリをすることにした。
段々と階段を上がる音がして、私の部屋の前で音が止まる。
「………帰ってんのか?」
「………………………」
私は何も答えない。
今声を出したら、涙声だし、声が震えそうだったから。
「………入るぞ」
ガチャ───
蓮が私の部屋に入ってくる。
ね、寝たフリしないと!!
私は布団を被って蓮に顔を隠すようにした。
「寝てんのか…?」
蓮が覗き込もうとする。
顔を見られないように、必死に顔を隠す。



