多分、由実本人も俺が言いたいことに気づいてるんだろう。
気まずそうに、ずっと下を向いたままだ。
「…」
「由実、聞いて欲しいんだ…。俺、由実とは付き合えない」
しっかりと由実の目を見て言うと、由実は悲しそうに整っている眉を八の字に曲げていた。
「や、嫌だよ仁くんッ!あたしには、仁くんしかいないの…!!」
「大丈夫だよ、由実。俺がいなくても、由実は生きていける。でも、本当に困ったことがあったら言って?俺ら、家族みたいなもんだから」
震えている由実の肩をしっかりと掴みながら、俺は言った。
由実は、今にも泣きそうになっている。
「っ…!……仁くんは、最勝寺さんのこと、好き、なの…?」

