やっと離してくれた先輩は、すごく、辛そうな顔してて。


「…ゴメン。じゃあ、俺行くね」


スッと私を離して、先輩は急ぎ足で帰っていってしまった。


まだ、胸のドキドキが治まらなくて。


先輩に抱きしめられた感触とか、まだ残っていて。


私はしばらく、家の前で1人立ち尽くしていた。



「……姉ちゃん、何してんだよ」


しばらくして帰ってきた弟に、変人を見る目で見られてしまった。