佳子は、玄関に入るとクラス表を見た。
「え~っと…?花園佳子、花園佳子っと」
「あっ。あった。」
佳子が見つけたのは自分の名前ではなく
「村上麟太郎」という名前だった。
佳子は、胸がドキドキした。
指でたどってった。
「花園佳子」
あっ…。あった。
佳子はたまらなく嬉しかった。
思わず
「ヤッタァ!」
と、叫んでしまった。
周りから視線を感じたが
気にはならなかった。
佳子は、早速クラスに向かった。
クラスは1年C組だ。
クラスに入ると、ほとんどの人が
もう座って待っていた。
一つだけ席が空いていた。
(隣は…?
えっ?麟太郎君?!
まさか、クラスも一緒で席も隣同士?
ありえない!)
と、思いつつも内心はとても嬉しかった。
近くに行くと佳子に気づいたらしく
ニッコリ笑った。
佳子は、もともと友達が少なくて
小学校の時はいつも一人で寂しかった。
でも、友達は欲しいと思ったことは無かった。
初めての友達が中学校になってからというのは軽いコンプレックスだった。
佳子は、席について麟太郎の方を見て
小さくピースをした。
すると、教室のドアが開いて
担任の先生が入ってきた。
「はい。静かにして。皆さんこんにちわ。
今日からあなた達の担任になりました。
中田博之(なかた ひろゆき)です。
よろしくお願いします。」
と挨拶をした。
一時間目は、みんなの自己紹介をやった。
二時間目からは、普通に授業をやった。
帰り際に、ふと呼び止められた。
振り向くと麟太郎が、ピースをしていた。
ちょっとだけ話そうと思ったが、他の
男子に連れていかれてしまった。
ちょっとがっかりした。