「あぁぁぁおぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃ!!!」

「えっ?ちょ、どうした有里?何で泣いてるの?!」

驚く私と、楓…と、一人で号泣している有里。


「お…王子様がぁぁ!」

「えっ?!王子様がどうしたの?!」

って、ええ?有里だけじゃなくって楓まで大きな声出しちゃって…!



「ふっ…不良に殴られたんだって…」 

有里が消えそうな声でささやく。

「はぁぁぁぁぁぁぁ?!王子様殴るとか、最低じゃん!」


やばいやばい。楓がマジギレしてる…

というか、王子様ってだれ?

「あ…あの…、」

私は恐る恐る口を開けてみた。
 
「王子様ってどなたですか?」

“王子様ってだれ?”なんて聞いたら、
“だれ?とはなんじゃぁぁい!口を慎め!それが王子様に対する口のきき方かぁぁい!!”

って、二人に怒られそうなので一応丁寧に言ってみたら、

「え?碧、王子様知らないの?」

2人に本当に驚いた顔をされた。

「そんなに有名な人?」

「そうだよ!王子様は学校の王子様なんだからっ!」

有里…さっきまで泣いてたのに今はどうした?
めっちゃ元気になってるよ。

というか、目が輝いてるよ…?

「サッカーが得意で、テストではいつも上位!優しくって、面白くって、フランス人と日本人のハーフ!で、ちょーーーーイケメン!
の、白糸 翔くんのことだよ?!」