神無に呼びかけられた瞬間、清良は俯いたまま肩をビクリ!と揺らした。
その様子に気付いたまりあもまた、昨日清良と交わした会話を思い出して――
「…………きよ、ら?」
戸惑い震える声で、親友の名前を呼んだ。
けれど清良は、答えない。
ただ俯いたまま、静かに肩を震わせるだけで――
『………どうして、何も言ってくれないの…?』
嫌な予感のしたまりあが、もう一度清良に話しかけようとしたその時
「もういいよ、清良」
そんな言葉と共に、清良の身体を後ろから抱きしめる人物がいた。
その人物とは、
「た…太一……!?」
この場に同席しながら、今まで沈黙を保っていた唯一の人物。
まりあの弟――安城太一だった。

