しかし。
「違う。それは俺じゃない」
瑛の言葉を、龍真はハッキリと否定した。そして、思い切ったように俯いていた顔を上げると
「…………来て」
「へ?…ほぇえっ!?」
不安げな表情で俯いていた神無の手を取り、突然走り出した。
みるみるうちに遠ざかっていく友人達の姿に動揺した神無は、反射的にその場で踏ん張ろうとする。
けれど、
「……………悪い」
そんな小さな抵抗は、龍真の一言によって粉砕された。
つまり――…
「ふ…ふぇぇえええっ!?」
神無の身体は、龍真によって横抱き――俗に言う『お姫様抱っこ』の状態――にされてしまったのだ。
思わず硬直してしまった神無を抱いて、再び走り出す龍真。
……その動きが止まったのは、まりあ達の姿が完全に見えなくなった頃だった。

