『本当は、少しだけ――ほんの少しだけ、期待したんだけどなぁ』
勢いでしてしまった告白だから、瑛が驚くのも分かるけど――もしも瑛が自分を好きだったなら、すぐにその言葉に返答があっただろう。
しかし瑛は、なにも返事をしなかった。
それはつまり、自分が瑛にとっての『良い後輩以上、特別未満』だったという証拠に他ならない。
瑛は、全く好意を持たない人間からの告白には間髪入れずに断ると聞いた事があるし。
『……あーあ』
何やってるんだ、あたし。
頭の中で、ぐちゃぐちゃに絡まる思考。
視界の隅がぼやけ、鼻の奥にツンとした痛みが走る。
『…………はぁ』
大きな後悔を抱えながら、まりあが心の中で大きな溜め息をついたその瞬間
「――――待て!」
そんな声と共に腕を捕まれ、後ろから抱きしめられた。

