「――――は?」
予想外の事を言われ、目を白黒させる瑛。
そんな瑛の様子を、まりあはどこか落胆したような――静かな気持ちで見つめながら
「私があの時逃げ出したのは、瑛先輩が清良の事を抱き上げているのを見て――羨ましくなると同時に、清良に嫉妬してしまったからです」
そう言って、力の弱まった瑛の腕の中から抜け出した。
そして――未だに驚いている瑛にフッ、と小さく笑いかけると
「――驚かせてしまってすみません。
……まぁ、それだけですので」
静かに呟いて、踵を返した。
その胸の中に広がるのは――諦めと、悲しみ。

