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「ぅ…ふぇ……っ」
溢れてくる涙を拭っていたまりあはその時、秘密の庭の隅にしゃがみ込んでいた。
周囲を薔薇の花で覆われた死角の一つで、嗚咽を漏らすまりあ。
閉じたまぶたの裏に浮かぶのは、先程の光景――。
「っ、」
思い出した瞬間、胸にズキッ…とした痛みを感じたまりあは、制服の上から心臓のあたりを掴んだ。
はぁっ…はぁっ……
自分の荒い息遣いが、周囲の空気に溶けて消える。
「はぁ…あたし、情けな……っ」
思わず呟いた、その瞬間
「――情けない、とはどういう意味だ?安城」
「ッ!」
ガサ…という音と共に瑛が目の前に現れ、まりあは驚いて息を呑んだ。

