――とりあえず、自分が安城を迎えに行けばいいのだろう――
そう理解した瑛が、何か腑に落ちない物を感じつつも走り出そうとしたその時
「…あー、ったく!そやったら、僕がまりあを迎えに行くわ!」
そんな大阪弁を耳にして、思わず眉間にシワを寄せた。
声のした方へ視線を向ければ、そこには真剣な顔をしたオーリィの姿。
瑛は一瞬、オーリィが泣いているまりあを慰める姿を想像して……
「いい。――俺が行く」
それだけ呟くと、まりあの走り去った方向へと駆け出した。
『……チッ』
胸の中に、微かに感じた黒い感情を押し込めながら。

