――そして、まりあの行動の真意にいち早く気付いたのは
「せ…先輩!降ろしてください!!私はどこにも逃げませんから!」
「そっ、そうですよぉ!早く降ろして、まりあを追って下さい!」
まりあの友人である、神無と清良の二人だった。
女子二人に涙目で詰め寄られた瑛は流石にたじろぎ、大人しく清良を降ろすと
「……で。安城を追えって、一体どういう事だ」
事態を把握していない瑛は、そう言って首を傾げた。
『何故、俺が安城を追わねばならないんだ?』
確かに、先程走り去った時の安城の様子は少しおかしかった。
しかし……それと、俺が追う事にどんな関係が?
「あ、あぅ……えぇとっ、多分いま、まりあは泣いててっ」
――眉間にシワを寄せて考え始める瑛を見て、神無は説明しながら焦り始めた。
この先輩の性格上、明確な理由が無ければまりあを追ってはくれないだろう事は容易に想像がつく。
しかし、その理由である『まりあは瑛が好き』という事実を言う訳にもいかないし、言ったとしても理解してもらえるかは未知数である。
しばらく考えた末に、神無は――
「す…寿司ですっ!」
「「「「………は?」」」」
意味不明な発言をした。

