『頭では分かってるんだけどなぁ……あたしも』 先輩は、ただ必要だと感じたからあんな行動に出ているって事も。 清良と先輩の間には、何も無い事も。 ―――でも。 「ごめん、ちょっと……」 頭では分かっていても、感情が追い付かなくて。 あたし――まりあは、無理矢理笑顔を作ってそれだけを言うと、清良と瑛が言い合う光景から目を逸らして校舎の方へと駆け出した。 モヤモヤとした、自分の心の中に生まれた黒い感情に、胸が苦しくなりながら。