長く伸ばしたボサボサの黒髪は櫛で軽く梳かし、あっという間に二つ結びを完成させると、次は台所へ。 そこで食パンを一枚掴むと、 「行ってきまーす!!」 それだけ叫んで、5月下旬の爽やかな空気の中へと飛び出した。 「神無ぁー!!おはようのキスするの忘れてるぞー!!」 ……裕也の残念な叫びは、神無の耳には届かなかった。 ―――――― ―――― ――