そんな兄を見た神無は、 『良かった……これなら今日は抱き着かれなくてすみそう』 兄ちゃん、一回抱き着くと5分は離れないからなぁ…などと心の中で呟きつつ、ホッと胸を撫で下ろした。 そのままもう一度カバンへ手を伸ばし、今度こそ取っ手を握りしめると 「……さらば兄ちゃんっ!!」 「あっ……神無!?」 棒立ちになっていた裕也の横をすり抜けて部屋から脱出。 素早く階段を駆け降りると洗面所に入り、さっさと洗顔を終えて黒い伊達眼鏡をかけた。