「『秘密』……」
その言葉で神無が思い出したのは、この学園の裏庭にある大規模なバラ園のこと。
薔薇十字学園最大の特徴であり、外来者や新入生などから喜ばれるその庭は、
学校に通ってしばらく経つと馴れてきて、段々人が寄り付かなくなる。
さらに、生い茂った葉などで死角が多い事もあり、いつしか生徒の間では『秘密の庭』と呼ばれるようになっていた。
――もし、この『under』が瑛の言った通り『秘密』という意味なのだとしたら。
「まりあは、裏庭に呼び出されてるって事ですか!?」
「……そうなるな」
神無の漏らした問いに、その隣に立っていた龍真が相槌を打つ。
ふと時計を見れば、昼放課が終わるまであと30分。
裏庭に行くには、まだまだ十分な時間が残っている。

