いつからそこにいたのやら。 半開きになっていた扉から、少しだけ顔を出した兄――裕也が、間延びした声で挨拶してきた。 驚いた神無は思わず体をすくめ、カバンへ伸ばしていた手を引っ込めた。 「に、ににに兄ちゃんおはよ!!」 「おー…。おはよ……」 「兄ちゃんも早いねっ」 「……おぅ」 驚いてどもる神無に対し裕也はまだ半分寝ぼけているようで、 開きかけた目を握りこぶしでグリグリと擦っている。