……神無にも、年頃の女の子らしく好きな人はいる。いるのだが、 『そんなこと、絶対に有り得ないもんなぁ……』 醜い自分が、周囲からイケメンと呼ばれる彼に告白される訳がない。 そう最初から決め付けていたので、――それでも少し、ほんの少しだけ期待しながら―― 手の平の上の赤いピンバッジを、サッと裏側に向けた。 普通なら、校章の裏に持ち主の名前や待ち合わせの場所が書いてあるはずなのだが――… 「………ぇ?」