『思い当たる人なんていないけど……とりあえず、断らなきゃいけないのは確かだなぁ』 まりあは自分が告白される光景を想像して、思わず深いため息をついた。 けど、仕方ない。 自分が好きな岡崎瑛(オカザキ アキラ)が持っているのは、三年生である事を示す青い薔薇の校章で。 それ以外は…申し訳ないけど、受け入れる訳にいかないから。 「………ふぅ」 ――まりあが心の中で決意を固め、大好きな先輩へと思いを馳せていたその時 神無もまた、自分の席に置かれた赤い薔薇へ手を伸ばしていた。