一つは、新学年になってから初めて行われた席替えが昨日だったせいで、 いま目の前にある席が本当に自分の席か、自信がなかったこと。 そしてもう一つ、最も大きな原因は――… 「あれ……あれれぇ?」 「……これ、夢じゃないよね?」 神無とまりあ、それぞれの机の上に置かれた、それ。 「「赤い、薔薇……」」 無機質な蛍光灯の光に照らされた、薔薇十字学園の校章だった。