渡り廊下を通っている時
「あ、千夏ちゃんだー」
瞬が広瀬を見つけた。
「立川さんッッ!! お元気そうですねー。 今日はどうされたんですか??」
広瀬が誰かと喋っている。
「広瀬さん。 入院中は色々お世話になりました。 今日は、上司のお見舞いにきたんですよ」
背の高い『立川』という好青年が広瀬に笑いかける。
「ヨカッター。 立川さんがまた具合悪くなったのかと思って焦りましたー」
広瀬が嬉しそうに話す。
広瀬が受け持つ患者はオレ1人のワケがない。
そんな事は分かっている。
でも、誰も寄せ付けなかったし寄ってこようともしなかったオレに、広瀬はそれでも話しかけてきたから、勝手に自分は特別なんだと思ってた。
広瀬は、誰にだって分け隔ての無い対応をする。
当たり前だ。
恥ずかしすぎる勘違い。



