ボクの震動、キミの鳴動。





瞬がオレのヘッドホンを勝手に外した。





つーか、いつからいたんだよ。





「何勝手にヒトの病室入って来てんだよ」





「だって、ノックしたのに返事しないからー」





そりゃそーだろ。 ヘッドホンしてたらノックなんか聞こえるワケないだろ。




つーか




「返事がなかったらフツー入っちゃダメだろ」





「そんな事より、リハビリ行こうよ。 車椅子持ってきたからー」




オレの話を無視して、瞬がお菓子をねだるコドモみたいにオレの腕を揺すった。




うっかりちょっと可愛いと感じさせる、この弟キャラ。




「・・・・・行くけど。 瞬も今日リハビリすんの??」





「え?? しないよ。 オレ、もう義足ですいすい歩けるもん。 使わないけど」





「じゃあ、何しに来たんだよ」





「トモに会いに??」





瞬が恐ろしい程可愛い笑顔で答える。




看護師たちがみんな瞬にメロメロになる気持ち、分かるわー。




「『会いに』じゃなくて『監視しに』だろ」




別にサボんねぇっつーの。 シゴトに熱中しすぎてリハビリの時間になってる事に気付かなかっただけだっつーの。





「あ、バレたか」





瞬はまたもいたずらっ子の様に可愛く笑う。





「じゃあ、看護師さん呼んでくるねー」





いくら腕を鍛えているとは言えども、片足の瞬にオレを車椅子の乗っけるのは難しい為、瞬はナースセンターに看護師を呼びに行った。





「おまたせしましたー。 ちょっと腕失礼しますねー」





瞬が連れて来たのは、広瀬ではない看護師だった。





広瀬を連れて来るんだと思った。





・・・・・まぁ、別に広瀬じゃなくてもいいんだけど。





広瀬ではない看護師と瞬に手伝ってもらって車椅子に乗る。





そして、瞬と一緒にリハビリルームへ。