背徳性理論

 

「でもね。おかしいんだよ」
「……」
「人のもの程良く見えるの。駄目だと言われる程欲しくなる。自覚はあるよ。それでも直すつもりはない」
「……」
「だからね。あなたの、あの人を見る優しい目が好きだった」


叶美の言葉は支離滅裂だ。
夢人はただ静かに、叶美に頬を寄せる。


「ユメ君が綾香さんを一番大切に想っているのが、遠くから目を見ているだけで解ったの。優しい目だったの。だから、その優しい目が私に向かない限りは、私はユメ君の一番じゃないし、私もユメ君を一番に想うことを抑えられた」


叶美はどこか、嬉しそうだった。
ポーカーフェイスな叶美は、今日は泣いたり笑ったり、忙しいらしい。


「だから、私は二番目が良い。建前でもユメ君の一番になったなら、私の中でも、ユメ君が一番なの」
「叶美、」
「気持ち悪いかな。こんなこと。でも本当なの。私は今まで、ずっと二番目で過ごしてきたの」


夢人は、いろいろな想いを脳内で整理しようとしていた。叶美に頬擦りするのを中断し、今度は叶美を腕の中へ閉じ込めた。