ホームを出て、駅から横に逸れた道に入った夢人の視界に、スーツ姿でうずくまった一人の女性が見えた。
「あの、大丈夫ですか」
「あ、すみません……、立ち眩みがしてそのまま、」
「立てますか」
辺りの暗さで互いに顔が見えないが、夢人はその女性の腕を掴んで、うずくまっていた女性を立ち上がらせた。
そんな夢人の背に、何かがぶつかったような衝撃が走ったのは、直ぐのことだった。夢人は慌てて揺さぶられた体を踏みとどまらせた。
女性は戸惑った表情でこちらを見た。
一方、自身の腰回りに回された何者かの腕が、背への衝撃が人間の仕業であったことを夢人に気付かせた。
夢人は振り返ると、その腕の主を見下ろした。
「……え、叶美」
「……」
叶美だった。
叶美が、背後から夢人に強くすがり付いている。
「ユメ君は、私の!」
「叶美、ちょっと」
「ユメ君、」
ポーカーフェイスな叶美が、泣いた。

