「ごめん」
「……いや、何というか、そんな風に謝られてもね……。私、驚き過ぎてどうにも反応できない」
綾香の電話越しの虚しい空笑いに、夢人の胸は潰れそうな程に後悔の波に飲まれた。
それでももう後に退けないと自覚しているのは、叶美と出会ったことが理由なのだと、夢人も解っている。
だからこそ、これ以上の言い訳の言葉は必要ない。
「……うん。そう、」
「……」
「解った、解った」
自身に言い聞かせるよう、綾香はそう繰り返した。それを、夢人はただ聞いている。
いくらか落ち着いた綾香の声で、最後の電話は切られた。夢人は、関係終結のあまりの呆気なさに夢見心地だった。
夢人は用のなくなった携帯電話を布団に放って、溜め息を吐いた。

