「ほら、ついに別れたぞ。ようやくお前が一番だ」
「……」
 

部屋には粉砕された携帯電話が転がっていた。いつから使えなくなったのかは、女に知る由もない。

女は随分と冷めた眼で、目の前の男を見据えた。男はソロリソロリと女に近寄ろうと歩みを進める。
 

「……冷ーめた」
「は?」
「バイバイ」
 

閑散とした部屋は、灯も点いていない。
女はニィ、と口元で笑うと、部屋から出てゆく。男は呆然とした様子で、瞬きを繰り返していた。
 

「一番なんて、要らないの」
 

以前、女がベッドの中で呟いた言葉が、男の脳内を駆け巡る。

男は、どこから間違えたのだろう。
この女の扱い方を。