私にはコンプレックスがある。
それは…
──男性恐怖症──
ということ。
私は男性が全般的に怖い。
小学生の時に男子から酷いいじめを受け
高校生になる今まで女子には普通に優しく
男子には態度を変えて、冷たく接して
男子に嫌われるようなことをして
私に近づけさせないようにしてきた。
今日から、この隅久高等学校の一年生になる。
また男子が
私に近づかないような態度をとらないと…
本当は怖いけど。
嫌ってくれるのなら勇気を出せる!!
頑張るぞ!!美嘉!!!
ガラガラッ
教室の扉を開けると、
教室にいる人達が騒ぎだした。
『あれって、
中学で男子への態度だけやばかったっていう
"安堂 美嘉"ってやつだよな?』
『そうそう。
つり目でピアス、金髪で、見るからに不良って感じでこえ~よな。』
『え?美嘉ちゃん優しいけどな~。
中学の女子の中では人気者だったよ?』
『だから、男子だけって言ってるだろ。
あいつは男子の敵なんだってさ。』
そうヒソヒソ話を聞きながら
自分の席へと座った。
はぁ、窓際の席がよかったなぁ…。
とそう思いながら
手に顎をのせて、ため息をついた。
「ねぇ、あんたが美嘉ちゃん?」
トーンの低い声の人物が私に話しかけてきた。
ま…まさか……。
私は冷や汗をかきながら
声のした方に顔を向けると…
げっ…
私の隣の席にいたのは、なんと男子!!
中学の頃は私の隣や周りにはいたくないと
男子達は私のことを避けてきたが
この高校には
同じ中学だった男子が少数しかいなく
同じクラスにはいなかった。
そのことを忘れていた私は
変な汗が大量に体中から流れ出してきた。

