「茜?どうしたの、浮かない顔して…」
「う、ううん。」
茜がこんなに動揺している姿は久しぶりに見る。
クールで怒りっぽい茜はあまり弱気を見せない。
「おぃ、お前ら夏休み中もちゃんと勉強しろよ。」
「え?」
後ろを振り向くと無駄に身長の高いてっちゃんがいた。
「あっ……」と横で茜がうつむく。
……………。
「え、ちょ、西宮いつもみたいに言い返せよー。なんかすべったみたいじゃねぇか」
と、てっちゃんが苦笑いしている。
「そ、そうだよ。茜!どうしたの?」
「…………………。なんでもないっ」
そういって、茜は走りさってしまった。
「なんだぁ…、あいつ。」
どうしたのかな、茜…。
茜の気持ちに気がつくのは、まだもう少し先のお話である。

