「...な、なにを根拠に、そんなこと分かるんだよ」
新谷のまっすぐな目に
新谷のまっすぐな言葉に
自分の心の中を覗かれたような錯覚に陥った俺は誤魔化すように早口で問い返した。
「根拠...。んー…根拠はないけど、あたしの勘?かな」
ふわり、と笑った新谷に少し、ほんの少しだったけど俺の心が動いたような気がした。
「...って、話してるうちにもうこんな時間だ。羽柴くん、電車大丈夫?」
ふっ、と空気が変わった新谷は時計を見ると俺の電車の都合を心配してきた。
俺もはっとして、時計を見た。
「うわ、あと10分もない...」
そろそろ佑樹達の所に合流しないとまた面倒くさいことになりそうだ。
「じゃあ、残念だけどまた今度だね」
にこりとまた残念そうに笑う新谷に俺は、
「あぁ...。一応連絡先聞いといていいか?」
と意外にも自分から新谷に携帯を差し出した。
多分俺はもっと新谷と話したかったんだって思う。
今日の俺は少しだけど気持ちがスッキリしていたから。

