どうかエンジンかかりますように

祈るような気持ちでコース脇の土と草でボロボロになった右手を伸ばした。

"キュルル…グゥオングゥオン"

かかったぁ〜

「君待ちたまえ…頭だって打ってるし血も出てるんだ」

そう言って止めるオフィシャルに

「あたしは、まだ走れる。チームのみんなが待っとぉっちゃけん…こんなトコでおとなしく担架やら乗れんっタイ!」

カウルが割れ、あちこち擦り傷だらけで草や土が、こびり付いてボロボロのマシン…バイザーが割れ所々キズだらけのメットだけど、みんなの血と汗の詰まった夢のマシン…それをこんなトコでくたばらせる訳には行かない。

『最後まで走らせてやれ!』『そうだぜ今年の鈴鹿を熱くしてくれた主役引っ込めて何見せるつもりだぁ?』『俺達ゃソイツの走りを最後まで見届けたいんだー!』

観客のみんなはあたしを後押ししてくれた。

いつだってあたしを認めてくれてるんだよね