ところが目が冴えてるのか、さっぱり寝床につこうとしない男がおる。

車椅子に座ったまま闇の向こうの鈴鹿サーキットを睨んで、その場にたたずむ栄司…

しばしそのままでいたら首に冷たい物を感じた。

「冷てぇ〜てめえカッパ…何するんだ」

犯人はカッパ…手には缶ビール2本持って…

「あんま気ぃ張り詰めさせんなよ」

そう言って1本を栄司に渡してその場に座り込んだ。

そして冷えたビールを一口飲みながら

「いよいよだな」

カッパの一言に栄司は

「ああ…ついにここまで来たな…」

そう答えビールを喉に流し込んだ。