せっかく待望のレース車両が手に入ったのに…走らないマシンを前に全開商店は暗い雰囲気に包まれた。

「俺達のバイト代いくら貯まった?」

カッパが重い口を開く

「2ヶ月働いた分が、この間の瑞穂ちゃんのライセンス取得とサーキット走行で…しめて52万円…」

う〜んどうなん?

「この先順調にバイトこなしたとして…足りるん?」

あたしも苛立ちを隠せなくなった。

「エントリーフィー、移動代、宿泊代、食事代…あと向こうでメンテナンスガレージ確保せんとイカんけん、その礼金もいる。それにガソリン、オイル、タイヤ…キリが無い」

「って事はマシン本体にかけられるお金って雀の涙?」

あたしの質問にクマさんは、黙って頷くだけだった。