「…気持ちは嬉しいよ。だけどごめん…俺、好きなやついんだ。」
朝場さんはごくりと息を呑んでこう聞いた。最初からこんな風に返されると分かっているかのように、心にあった不確定なものを、確かめるかのように。
「…その好きなやつって、立切さん?」
「…ああ。俺は未空が好きだ。」
晃希は迷うことなく答えた。ここで変に気を使うのもおかしいから、当然といえば当然ではあるが。朝場さんが傷つくのも当然だった。
「…だよね、わかった…堀くんの気持ちが分かってよかったよ。私も伝えられたし…じゃあね…」
そう言い残して泣きながら去って行く朝場さん。
私はそんな2人を見ながら、水草くんに言われたことを思い出していた。
本当に彼の言ったとおりだった。晃希は慰めのつもりで私に告白したんじゃない。本気で言ってくれてたんだ…
なら私も本気で受け止めなきゃ失礼だよね。
そう思い、私もその場を離れた。


