「え…?」


それは、そう言ったら、いつも通りの未菓じゃなくなってしまうから。

そう、言おうとしたんだ。


でも、私が言う前に未菓が口を開いた。


「日向は知ってたんでしょ?」


何で、それを…?

そんな私の心を読んだ様に未菓は喋りだす。


「そんなん気付くに決まってんじゃん。あたし達、ずっと一緒にいたんだから。日向の顔見ればそれくらいのことは分かるよ? …まぁ、何て言ったかは分かんなかったけど、あたしの知らない何かを日向は知ってる…ってゆーのは、日向見て気付いた。」


びっくりした。未菓がここまで気付いてたってことに。

私はきっと、未菓のことを甘く見ていた。

「いつから? いつから、気付いてたの?」

やっとのことで出した声は、今までにない位に震えていて。

そして未菓は、背を向けたまま、ふっ、と笑って


「朝。朝からだよ」

さらりと、あの冷たい声で、そう告げた。

「朝…。そんな早くから…?」


「うん。いつも良い子ちゃんの宙が、せんせーに呼ばれるってことは何かあった、ってことだろうし。それに、日向も全く笑ってなかったからね」

ちょっと笑いながら、未菓は言う。