それから俺はまっすぐに帰宅。

仮眠→シャワー→着替えって
段階を踏んでまた家をでた。


時間はPM6:45。

まだ待ち合わせよりも大分早いけど
ちょっと駅前に野暮用があって
一人混雑した街中を歩く。

イヴって事で当たり前にカップルばかりで
至る所に飾り付けられた
色とりどりのイルミネーションが
彼らの夜を華やかに演出してた。


俺自身は今まであまり
クリスマスってものを
意識したことはなかったから
今年の自分はかなり例外。

それはもちろんアキの影響。


駅前にそびえ立つ
ゴールドと赤を基調とした
巨大なクリスマスツリー。

それを見上げながら考える。


大概女ってのはイベント命な生き物で
やれプレゼントだのどこ行くかだの
必死になって考えまくるものだけど

アキはそれには当て嵌まらないだろうって
漠然と予想してたから
今の彼女はかなり意外だったりもした。


前に自分の誕生日ですら
どうでもいいって言ってたし。


それなのにクリスマスだけ特別なんて
そこに何かあるんだろうか。

ユウキの誘いを断ってまで
家で開くアットホームで普通な
クリスマスパーティーを優先した理由。


人数が多い方が楽しいから?
それとも俺達との方が先に約束したから?


いくら考えてもやっぱり全く解らなくて
今は諦めて再度足を進めようとしたら
背後から聞こえた柔らかな声。


「……リョウ?」


素直に後ろを振り返ると
驚いた顔をして俺の顔を見てる一人の女が
人込みの中に佇んでた。


「……ユリ」