するとステージの上の
スクリーモ系バンドの演奏が
俺らの間の沈黙を柔らかく崩し始めた。


軽いスノアドラムの音が
突き抜けるように心地よく響き渡る。


ケンゴは感心したように頷くと


「……にしてもこのライブハウス
マジでめっちゃ音ええな」

「それは俺も思った。
さっき弾いててもそうだったし
こうやって聴いてても実感っつーか
音のバランスめちゃめちゃいいよな」

「ほんまやわ。
さすが松さんやな色々と間違いない。

こんなとこで出来るとか
マジで俺らラッキーやわ。

……でも、ただ一点を除いてはな」


穏やかな話し方から一転
急に声のトーンをキツクしたケンゴに
驚いて意識を移す。


「何が?」

「お前もわかるやろ?
The Cloggerの連中や」

「ああ、なるほどね」


やっとケンゴの言った意味がわかって
苦笑いを返すと

ケンゴはキリキリと目つきを鋭くさせて
殺気立ったオーラを放ち出した。


こうこうと光るフロアの照明が
ケンゴの黒い表情を明るく照らしてて
そのギャップが恐怖を更に演出してた。


……ホラーかよ!!
とか思わず突っ込みたくなってくる。