――やがて鼓膜に届けられた
ギターの激しいノイズ。


全てが重なったその瞬間
とてつもなく身体が震えて
胸に熱いものが込み上げて来た。


まだ完璧に乗り越えはできないだろうけど
少しづつでもいいから
本来の輝きを取り戻せればいい。


超E難度のこの曲のギターを
難無く弾き熟すシン。

やるじゃんアイツ……って
素直に感動させられて
でも取り込まれないように
意識を覚醒させる。


ケイの歌に魅せられて始めた彼の音楽。
そしてケイと半身血を分けたアキの歌声。

特別な繋がりを持った彼等の音色に
奇跡ともいえるその共鳴に
涙が出そうになった。


なあケイ、スゲーだろ?

……お前らのとは違うけど
俺らが奏でるこの音楽だって
めちゃめちゃ最高だろ?


っていつもみたいにテレパシーを送って。

そして熱で揺らめく空間を見つめ
俺は更に強く思った。


――きっとお前ら以上のバンドになる。

なってみせるよ、
こいつらと一緒に。


全ての歌を終え
やり切ったような至福の表情を浮かべる
アキの強い眼差しの中にも

今の俺と同じ誓いが
揺らめいてるような気がした――。