写真を辺りに広げたまま
そっと目を閉じる俺。

そして考える。

自分の全てでもあった大切な人間が
目の前で命を落とすって事。


……あぁ、ヤバイな死ぬ。

辛すぎて普通じゃいらんなくなる。
絶対。


それでも想像だけじゃ追いつけない
どれだけの悲しみがそこにあったのか。

苦しみと
憎しみと
絶望。


多分俺には
一生わからないかもしれない。
シンやアキの本当の痛みを。


「はぁ……何だよコレ」


とてつもない虚無感で
最大限の溜息をつく。

そしてまた写真に視線を落とした。


今更だけど
ホントにケイとケイの音楽が
全てだったんだな、
この頃のアイツは。


シンの笑顔が胸に痛い。


ジンっと
熱く込み上げるものを感じながら考える。

シンにどんな言葉をかけるのが
正解だったのかなって。

――それとも正解なんて始めから
存在すらしてなかったのかもしれない。


……なあケイ
お前はどう思う?


なんてシンの隣で
彼の肩に腕をかけて笑うケイの顔を
じっと見つめて問い掛ける。


俺お前が羨ましいよ。

アイツの心をそんなにも惹きつける
お前の存在が。


――そんなバカな嫉妬までして。


マジで俺諦めるしかないのかな?

もう道はないのかな?


縋るように何度も問い掛けたのに
当然ケイからの答えは聞こえなくて

でも何故だかアキと同じ灰色の瞳が
切な気に揺らめいたような
そんな、錯覚がしたんだ――。