新幹線の改札を抜けると
俺らと同じように
最終の時間を気にした奴らが急ぎ足で
上りエスカレーターの方に向かってる。


出発まであと10分ある。


これなら間に合いそうだと安心しかけたら
俺のポケットの携帯が震えた。


「あ、電話……ってカズマ?
何だろアイツ。
アキ、ちょっと待って」


って軽く断って
人の流れから脇に逸れ通話ボタンを押す。


「どうした?カズマ」

『あっ!リョウやっと出た!
もう俺……どうしたらいいか
パニックになっちまって』


俺の問い掛けに被せ気味に発せられた
あわてふためいたようなカズマの声。


なんだこれ
事件か何か?


「どうしたんだよそんな慌てて
なんかあったの?」

『は?お前知らねーのかよ!
テレビ見ろ!今すぐ!!』

「無理だよ、今外だし」

『えっ!?……あーもう、だから
Down Set!
解散するんだって
今生で中継してんぞっ!!』

「…………」


……は!?


何?
……今、なんつった?
解散って……誰が?


――Down Setって……
は!!??


「嘘、だろ」


固まる唇を開いてそう呟いた。


嘘だろ?
嘘だよそんなの。

……だって信じらんねーよ。


ついさっきまで俺
見てたんだ奴らのライブ。
メンバー全員
あんなに楽しそうに演奏して――。


ショックで完全に血の気が引いて
顔面が蒼白になってる自分を感じてたら
イラついたようなカズマの言葉が
携帯から響いてきた。


『こんな笑えねー嘘!
つくわけねーだろ!
ユウキがソロでアメリカ行くんだって!
だから解散するんだってDown Setが!』

「ソロ?」

『そうだよ!
もう日本に帰ってくる気ないって。
すぐにでもあっちに行く予定だって』


…………。

アメリカ?
ソロ?

まさか。