「あの……これ……」


学校までの通り道
目の前にいきなり現れたのは
近所の女子高の制服を着た女
with友達AB。

恥ずかしそう顔を赤らめて
ヒラヒラ紙に包まれた小さな箱を
俺に向かって差し出してくる。


そんな彼女らを見下ろした状態で
まいったなと髪を掻いた。


「ごめん、俺受け取れないわ」

「どうしてですか?
彼女さんがダメって言うんですか?」


潤んだ瞳で見上げてくる彼女。

不自然な程瞬きの回数が多くて
わざとらしいなと内心辟易し始めた。


つか彼女ってやっぱりアキ?
何処までデタラメな噂が広まってんだよ。
でも調度いいからのっかっておこう。


「イヤ、アイツが
どうこうって訳じゃなくて
俺自身のケジメとして」

「そう、ですか……」


こうやってすぐに引いてくれるのは
正直かなり助かる。

めんどくせーのはマジで勘弁だし。

でも最近の女はかなり浅ましいし自分勝手。
自分の事じゃないならなおさら
その度合いは高くなる。


「えーまじでぇ?
受け取ってくれるぐらいよくない?」

「だよね〜、超ケチー。
めぐみかなり頑張って手作りしたのにね」


なんて友達ABが
グチグチ言いつつししゃり出て来て。
思わずイラついて頬が引き攣った。


うわーかったりい。
こういう時は逃げるに限る。


「……じゃあ本当ごめんな
俺急いでるからもう行くわ」


って彼女らを擦り抜けて
先を行こうとしたら


「ま、待って!
あ、あたしやっぱり
これ……ごめんなさい!!」


と俺の腕にチョコを押し付けて
友達共々走り去ってしまった。


はぁ!!??
オイ、どーすりゃいいんだコレ?


人けの無くなった道路につっ立って
手の中の箱を数秒眺めた俺は

全く躊躇することなく
そばにあったゴミ置場に
それを放り投げた。


――今日はゴミの日だ。

彼女の気持ちも
俺の罪悪感も
綺麗さっぱり引き取ってくれ。