俺らがステージに現れた瞬間から
止まる事なく上昇を続ける会場の熱気。


フロアにはここのキャパの許容量を
かなり超えて詰め込まれた観客達が
激しい曲のリズムに合わせて
一斉にジャンプを繰り返し

ほとばしる歓喜のエネルギーを
ステージに向けて放ちまくる。


やべえ、楽しすぎだろ。


そのリアクションの良さに
自然と口元を綻ばせながら
視線を左奥に向けると

うちのバンドのギタリストが
雄叫びを上げながら
高速のギターリフをぶちかまし始めた。


……あの野郎。


ニヤリとしながら
俺のベースの音でもって追い掛けると

凄まじい歓声が上がると共に
会場のテンションが更に上昇の波を辿る。


スコアにないそのギターソロは
もちろんアドリブまみれで
かなり調子に乗ってるけど

テンションの上がったこいつを
留める術はもはやねーし
楽しいからほっとこうか。


予測出来ないことが好きなのは
何も客だけじゃないんだよね。