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床に散らばる星型や丸型や天使とか
色とりどりのオーナメントを
丁寧に箱に閉まっていく。


作業をしてる時は
色んな事考えなくてすむんだな
なんてぼんやりと考えてたら
すぐ隣にいるアキが不意に視線を上げた。


「そういえばさ、リョウ」

「ん?」

「夜私と話してた時
キャッチ入ったじゃない?
あれって誰だったの?」

「ああ、ユウキだった」

「え!?」


明らかに焦った様子の
彼女の手元から滑り落ちるベル型の飾り。

俺は彼女の顔から視線をそらさないまま
素早くそれを拾い上げ
アキに向かって差し出した。


「何動揺してんの?」

「べ、別に。
ヘェずいぶん仲良しになったんだね」

「んな事ねーけどさ。
あっそーいや俺あいつに
変な話聞いたんだよね」

「変な話?」


俺から受け取った飾りを箱に入れ
不思議そうに眉を潜めるアキに
さっきユウキから聞いた話を
そっくりそのまま伝えてみる。


「そう、“The Clogger”の
シンっていたじゃん?
あいつがDeep Endの
Street Teamだったとか何とか」

「え!?」


今度は叫び声を上げ
ゴロゴロゴロって手に持ってた箱の中身を
全て床に散乱させるアキ。


「何?どーしたそんな声あげて。
ストリートチームって
もしかしてお前意味知ってんの?」

「知っ……てる」

「嘘!マジで?
なら教えろよ、俺にも」


とっさに抱えてた箱を放り投げ
彼女にズイッと詰め寄ると
アキはまだ信じられないって顔のまま
口元に細長い指をあてた。


「うんと……
どうやって言えばいいのかな?
……あのね、
ストリートチームっていうのは
バンドとかアーティストを
草の根で広めてこうっていう
宣伝部隊の組織名の事で」

「宣伝……部隊」


何だそれ、訳わかんねぇなと
まだ腑に落ちないでいる俺に
更にアキの説明が続く。