『冗談ばっか言ってないで
マジでカズマと今夜話しなよ。
こういうのは時間が空けば空くほど
話難くなるんだから』

「わかってるよ。
……そう言えばお前も
昔の友達と仲直りすんの
スゲー時間かかったもんな」


――そうだった。

アキも中学時代に色々あって
絶縁してた女友達と
最近仲直りしたばっかりなんだよな。

なかなかお互い歩み寄れなくて
きっかけとか色々作ってやった俺だから
あの時は自分の事みたいに
嬉しかったっけ。


そんなこいつが言ったから
余計に身に染みて感じる今の言葉。


「サクラだっけ?あの女。
もう全然大丈夫か?」

『う、うん。
まだちょっとぎこちないとこもあるけど
今度も二人で会う約束した』

「そっかよかったな」

『うん』


そう嬉しそうにはにかむアキの顔が
結構リアルに浮かんで来て
不謹慎にも胸がざわついてきた。


この前はあんな寸止めで耐えれた俺だけど
実はあの時のアキの姿が
ふとした拍子に蘇って来る事があって
時々マジでやばくなる。

だから懲りずに


「なぁアキ」

『ん?』

「やっぱり今から行ってもいい?」

『駄目』


即答かよ。

若干凹まされた俺の耳に伝わる
キャッチを伝える音。


んだよ、邪魔すんな。


と名残惜しく思いながらも
アキに別れを継げ

いつもの癖で
誰からの電話か確認しないで
携帯の通話を切りかえた。


「もしもーし」

『俺だけど、こんな時間にわりいな。
今平気か?』


…………!