こうやって俺達三人が
ギャーギャー騒いでるのに
珍しく間に入ってこなかった
お祭り男のカズマは

少し離れた位置にパイプ椅子を移動させて
そこに座りながら
胸に抱えたギターをいじってる。

そうして腕を止めたかと思ったら
ふと顔を持ち上げて一言。


「なぁお前ら」

「っとカズマ!
お前そんなとこで野次馬してないで
こいつらの口割らせろよ」


こんな風に助けを求めた
俺の顔を真っすぐ見て
いつもみたいにヘラリと笑って
冗談を言う口調で話す。

平然と、何て事ないみたいに。


一生聞きたくなかった
全く想像もしてなかったその言葉。


「俺さ、バンド抜ける」


…………!


「は?」


一瞬時が止まって
ありえない単語の並びに
脳が意味を理解するのを拒否して

さっぱり頭が働かないまま
ただカズマの顔を見る。


……お前今、何て言った?


アキもケンゴも言葉を失って
俺らの方を凝視してて。

するとカズマは再び、
一語一句はっきりとした口調で言い放った。


「――だから、
俺、バンド抜けるわ」