俺は数枚の紙をペラペラめくり
その箇所に指を突き立てた。


「えっと、タイトルは
“One Night Stand”………?」

「あ゛!?」


すると途端にケンゴは大きな声をあげて
そのせいでコーヒーが器官に入ったらしく
激しく咳を繰り返してる。

は?何だ今の反応?


「え?何だよケンゴ。
意味わかんねーんだけど。
なんかあんの?このタイトル」

「ゲホッ!……イヤ
別に。
何もあらへんけど……ゲホッ!」


言動と態度が一致してなくて
ケンゴは涙目になりながらも
アキの事をチラチラ見て

でもアキはすました顔で
ミルクティーを飲んでる。


「は?全然わかんねぇ!
何だよ“One Night Stand”って?

そのまま訳すと“一晩立つ”?
ってわっかんね〜、
オイ!ケンゴ意味教えろ!」

「……知らん。
俺は何も知らん」

「クソッ!じゃあアキ!」

「……練習、始めよっか」


揃って二人にはぐらかされて
俺はいらつきながら首の後ろをかいた。


ちきしょう!
二人揃って訳わかんねえ。
絶対後で辞書で調べてやる!

なんてかなり格好悪いこと
心に誓いながら。


――といってもこの願いは
すぐに別の感情に
塗りかえられてしまうんだけど……。