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数日後。
いつもの場所に集合しての
久々のスタジオ練習。


翌日は新学期が待ち構えてて
全く冬休みの短さといったらねぇ。


練習を開始してから約1時間、
ケンゴ作の新曲のアイデアを皆で膨らませ
大分形になってきたところで
今は少しの休憩時間だ。


すると、相変わらずバイトばっかりで
元旦以来に会うアキが
俺に数枚の紙を手渡した。

ちなみにこの前の記憶は
やっぱり思い出してねーらしく
いつも通りの色気のない関係に逆戻りだ。


「リョウ、私も新曲作ってきた」

「おー偉いぞアキ。
……って今回のはやたら激しいな。
お前が今まで作った中でも
1番激しいんじゃね?」

「え?そうかな?」


小さなテーブルを二人並んで座り
俺の隣でアキは髪を撫でながら首を傾げる。

そして俺が音譜を目で追ってくのを
大きな瞳でジッと見つめてる。


――その視線はかなり強く
心なしかソワソワしてるし
実はかなりの自信作とみた。

俺は最後まで楽譜を見て


「うん、スゲーいい。
お前ホント音変わったよな。
昔よりかなり良くなった」

「そ、そうかな?」

「おぉ、絶対。
んで歌詞は今回も全部英語か?」


意味の全くわからねえ
英文を眺めながらそう聞くと
アキはゆっくりと頷いた。


「うん、そう。
やっぱり英語の方が
作りやすいし歌いやすいから」

「へーぇそうなんだ。
でも俺さっぱり意味わかんねーし
出来れば日本語訳つけてほしいんだけど」

「ヤダ。面倒。
知りたかったら自分で辞書で調べてよね!」


アキはそう言って意地悪く笑って
するとカズマとバカ笑いしてたケンゴが
ひょいと俺の手から紙を奪った。


「何や、アキも曲書いてきたん?
……ほんまや、めっちゃ喧嘩売ってる曲や。
展開グルグル変わるし
女が作った曲とは思えんわ」


ケンゴは持ってた紙コップの縁を
かじりながらニヤニヤして


「それで、
この曲タイトル何ていうん?」

「え?タイトル?
タイトルは――」