早速向かったバックステージ。
こっちも溢れる人人人。

そこの一角で発見したのは
さっき熱いライブパフォーマンスを行った
DeFautのメンバーの三人で

まだ息も上がった状態で
滴る汗を拭いながら
缶ビールを飲み干してた。


「うぃーす!松さん。
それに谷さん、西さんも。
やばかったっすよさっきのライブ」

「あっ!リョウ君。
それにアキちゃんも。
今日は来てくれてありがとね」

「イヤ、逆に誘ってくれて感謝です。
何すかあの新曲。
俺笑い死ぬかと思った」

「そうか、やっぱり君なら
気に入ってくれると思ったよ」


このバンドのギター兼ボーカルの松さんは
大胆不適に笑いながら
首元のネクタイを緩めてて

何故かDeFautの皆さん
今夜は揃いの白シャツに
黒パンツ、黒ネクタイ。

スタイリッシュなこの格好も
彼らがするとコスプレ的に見えるのは
揃いも揃ったふくよか過ぎる体型のせいか。

西さんと谷さんは
ちょうど知り合いが来たらしく
簡単に俺らと挨拶を交わした後
フロアの方に行ってしまった。


「ねぇ、松さん。
新曲のイントロで吹いてた
大きな笛みたいの何て言う楽器ですか?」

「あぁ、アキちゃん。
よく聞いてくれたね。
あれはディジリドゥーっていう
オーストラリアの先住民の楽器でね」

「へぇ凄い。
あの音心臓にビリビリきましたよ」


キラキラと同じ目の輝きで
音楽談義に花を咲かせるアキと松さん。

まるで正反対の風貌のこの二人。
うーん……ロックだ。

当然俺も会話に参加。


「それにあの松さんのオタケビ。
俺てっきりジャングルの奥地に
迷い込んだのかと……」

「そう、あれ結構大変でね。
この前なんか練習中に白熱しすぎて
喉から色んな物が出て来たよ」

「うわ、色んな物ってそれ詳しく聞くの
めちゃめちゃ怖いんすけど」