「いやいや、八神先輩は知っとるかもしれへんけど、リコさんとは初対面やろ?」
「あ、そっか。僕、佐野神影。よろしくお願いします。」
ゆるーい感じの挨拶をした後、ふにゃんと笑った佐野くん。
「か、可愛いっ…!!」
…に、完全に心を射抜かれた様子のリコ。
「八神、中津!」
爽やかな笑顔を向けながら、部長がこっちへ走ってきた。
「明日から朝練始まるから、7時集合な?」
「「了解です!」」
リコと声を合わせて言うと、部長はまた一年生たちの方へ戻っていった。
「蘭、結局バスケ部入るの?」
「おん。入るで?最初から入るつもりやったし、リコさんおるし。」
「…さっ、最後のはいらないと思う!!」
ぼんっ。
顔を真っ赤にしたリコは、あんの後ろに隠れた。
「……さ、佐野くんは入るの?」
「んー?…はい、入りますよ。」
「神影、入らん言うてたやんけ。」
こつん、と佐野くんの頭を小突いた春川くん。
「うっさいなぁ。気が変わったのー。」
頭をさすりながら答えた佐野くんは、べぇっと舌を出した。
「生意気。」
「い"っ!?」
額にでこピンをくらった佐野くん。
…………痛そう。
「八神先輩。」
「は、はい!?」
「これからよろしゅう頼みますね。」
ふっ、と笑った春川くんがすごく綺麗で反射的に顔が赤くなったのは事実で。
「………。」
そんなあんを見ている佐野くんの視線に気づかなかったのも、また事実。